3〜5月は残業すると損? 【社会保険料】 ︎知って得するお金の話︎
3~5月の残業代は社会保険料と関係がある、ということを知っていますか?
それには、社会保険料が関係しています。
この記事では、
- なぜ「残業をしないほうがいい」と言われるのか
- 残業をして収入が増えた場合はどうなるのか
をご紹介します。
残業をしないほうがいいと言われる理由
毎月の給与から引かれるもの
毎月のお給与、総支給の中から引かれるものは、主に「税金」と「社会保険」です︎。
この社会保険のうち「厚生年金保険料」「健康保険料」は、毎月の給料によって変わるのではなく4、5、6月の給料【標準報酬月額】によって決められています。
標準報酬月額とは︎
毎年7月1日に決まる4、5、6月の3カ月間の報酬の平均額です。その年の9月から翌年の8月までの1年間利用されます(大幅な給料の増減があった場合を除きます)
3、4、5月の残業が多く、4、5、6月のお給料で貰う残業代が増えると、9月からの1年間の社会保険料の負担が重くなるということになります。
よって、一般的に3~5月には残業しないほうがいいと言われています。
この標準報酬月額には賃金、給与・賞与、住宅手当、配偶者手当等、労務に対して支給されるものすべてを含みます。
年に3回以下の賞与や大入り、見舞金のような突発で受け取るようなものは含まれません。
残業で収入が増えたらどうなるのか
説明だけでは分かりづらいので具体例を︎ご紹介します。
《Aさんの場合》
月額報酬20万円(東京都の会社員)
3〜5月残業なし
厚生年金⇨14等級
健康保険⇨17等級
厚生年金保険料は18,300円
健康保険料は9,900円
合計28,200円
《Bさんの場合》
3〜5月残業あり(4〜6月支給の残業代各月3万円)
厚生年金⇨16等級
健康保険⇨19等級
厚生年金保険料は21,960円
健康保険料は11,880円
合計33,840円
基本の給料は20万円で同じであっても、残業をした場合は1カ月の社会保険料が5,640円もアップすることになります。
1年間で考えると約67,680円も多く支払うことになります。
残業は絶対にしないほうがいいのか
社会保険料を多く支払うことのメリット
- 年金額が増える
社会保険料を多く支払うということは将来受け取る年金額が増えるということでもあります。 - 控除額が増える
社会保険料には社会保険料控除がありますので、多く支払えば控除を多く受けることが出来ます。
支払う金額が少なくなれば、住民税・所得税の控除額が減ることになります。
社会保険料控除は、会社員の方であれば大抵会社側で年末調整の際に手続きをしてもらえるので基本的には何もしなくて大丈夫です。
フリーランスや自営業の方は確定申告で証明書を添付して申告する必要があります。
まとめ
3~5月の残業代と標準報酬月額、社会保険料についてご説明しました。
結論としては、正解はありません。毎月支払う社会保険料がアップしたとしても、その分残業代は貰っていますし、社会保険料を数千円多く支払ったところで将来の年金額が大幅に変わるわけでもありません。
この時期の残業代にはこのような影響があるということをしっかりと理解し、必要以上の無駄な残業はしないことに注意をしていきたいですね。
※平成30年10月より、《月額変更届の特例》で、ある一定の条件を満たせば、年間の給与の平均を標準報酬月額に適用することもできるようになりました。
詳しくは勤務先でご確認ください。